リチャード・ニクソン暗殺を企てた男

The Assassination of Richard Nixon
どうしようもない男をショーン・ペンが演じます
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男

大統領暗殺を巡る陰謀アクション映画とは全く異なる映画ですのでお間違いなきよう。この映画は駄目人間のお話です。

駄目人間はいます。仕事も人間関係もうまくいかない。何をやっても駄目で不器用で自業自得でしかもそれを他人や社会のせいにする。可愛げがあるわけでもなく何か一つの取り柄があるわけでもない。うじうじくよくよむかむかと精神状態もよくないという。そんな駄目人間です。誰の役にも立たず、いやむしろ迷惑でさえあり、まったく無駄に生きているとしか思えない、何のために存在するのかこの馬鹿、といった駄目人間。
犯罪者の一歩手前です。というか、犯罪者になり得ます。というか、犯罪者と何も違わない。おれが駄目なのは社会のせいだ、そうだ大統領を暗殺してやる。こんちくしょう。

私はしかし個人的には、駄目の何が悪い、存在価値がなくてどう悪い、取り柄がないのがどうしたというのか、と考えているタイプでして、犯罪者と芸術家の何が違うのかまったく分からずにいるのでして、自分が犯罪者でないのはただの偶然であると考えているのでありますから、痛い人間を見ると思いっきり感情移入してしまうわけです。ショーン・ペンは「デッド・マン・ウォーキング」でのあの犯人の役を驚くべき演技力で作り上げた実力派俳優で、大統領暗殺を企てる駄目人間をいかに素晴らしく演じるか想像できるじゃありませんか。

というわけで並々ならぬ演技と冴え渡る演出でめちゃんこ面白く興味深くドキドキハラハラの最高映画に仕上がっております。社会的意味も感じ取れます。

「なぜ自分は駄目人間じゃないと考えているのか」「なぜ自分は人殺しではないと考えているのか」とゆっくり煙草でも吸いながら自問してみるのもいいと思います。

2006.04.13

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