4ヶ月、3週と2日

4 luni, 3 saptamâni si 2 zile
4ヶ月、3週と2日

1987年、チャウシェスク大統領による独裁政権下のルーマニアではこういうことが違法であった。ある女性の一日。

4ヶ月、3週と2日

独裁政権下で中絶が禁止されていた頃にまさにそれを行おうとする少女と少女の友人たちです。長いながい一日です。

望まない妊娠21世紀版無関係三部作のひとつです(勝手にそういってるのは私だけ)他は「クレールの刺繍」と「Juno/ジュノ」で、三者三様、全然違う映画で、比較すると面白いです。

ヨーロッパ映画独特の間合いとカメラでじっくりたっぷり丁寧に人間を抉(えぐ)るように撮っています。この撮り方この演出はミヒャエル・ハネケとかダルデンヌ兄弟を彷彿させます。観察するように登場人物たちを捉えますね。この抉り具合が一歩抜き出ているところにこの作品の見どころも詰まっております。息が詰まり胸騒ぎがします。この演出はすごいですよ。監督、ただ者ではありません。

さて。このきっつい映画を観てみなさんは何を思いますか。

独裁政権の負の側面とその国で生きる弱者を政治的な視点で見るでしょうか。少女たちの遭遇する物語を固唾を呑んで見守る観客の視点で見るしょうか。こいつらアホちゃうか、と頓珍漢で幼児性の抜けない偏狭な視点・価値観で登場人物たちを見下しますか。悪人めなんということを。最低。と素直に見ますか。少女たちを描く「少女映画」として高く評価しますか。それとも、社会情勢の違いはあれど、そこに普遍的な人間心理や洞察を見て文学的興奮を感じるでしょうか。

いろいろだと思いますが、この映画を見ている間、絶え間なしに感じる不安や焦燥感、恐怖、悲哀と言った感情の波は並みではありません。洒落を言ってる場合でもありませんが。
この重さ、これは価値があります。

しかしなぜ人はわざわざこんな重苦しい気持ちを味わうためにこのような辛い映画を見るのでしょう。もちろん、辛いだけじゃなくてとても良い映画ですけど、映画を見て辛くなりたくない人には不向きなのは間違いありません。

辛くても苦しくてもOKな文化的映画的キャパシティの広い人には強くお勧めします。そして価値ある映画を追い求めるあなたにも強烈オススメ。

第60回カンヌ国際映画祭パルム・ドール、第20回ヨーロッパ映画賞作品賞など多数の受賞・ノミネート。

2009.12.10

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