ジュリエッタ

JULIETA
ジュリエッタ
公開年:
2016
製作国:
監督:
製作:
脚本:
撮影:
音楽:
美術:
編集:
主演:
  • エマ・スアレス
  • アドリアーナ・ウガルテ
出演:

ペドロ・アルモドバル監督2016年の映画「ジュリエッタ」は母親のシンプルな物語ながら油断ならない細部が充満、しかも注目のふたりの女優さんも出演。

ジュリエッタ

ペドロ・アルモドバル監督は日本でもファンが多く、なんと2016年の映画を2016年に日本でも公開できたという快挙、配給さん頑張りましたありがとうございます。

「ジュリエッタ」は母と娘の映画ですが基本母の話です。母であるジュリエッタが娘に手紙をしたため過去をお話する中で若い頃から現在に至る人生が描かれます。

ペドロ・アルモドバルのオリジナル脚本ではなく原作があるようですね。カナダのノーベル文学賞作家アリス・マンローの「チャンス」「すぐに」「沈黙」の三本がそうです。ペドロ・アルモドバル監督は小説の権利を買い取り、この原作から触発された脚本を仕上げたということです。「チャンス」「すぐに」「沈黙」は連作のジュリエット三部作で、つまり大筋では映画「ジュリエッタ」の流れと同じような流れの原作三部作のようですが、監督によると原作とは随分異なったところも多くあるそうです。

さて母ジュリエッタにとって最愛の娘、でも観客にとっては謎の娘アンティアを追うミステリー進行でもあります。というかそもそもジュリエッタを追うミステリー進行でもあります。つまり母ジュリエッタの生い立ち、娘アンティアの生い立ち、そして「その後」がありますが「その後」から始まり過去を追うドラマですから、人物の肉付けは映画とともに進行して観客がそれを追います。そういう作りとなっておりますね。これってミステリーの進行です。

ペドロ・アルモドバル監督の近年の作品群から見ると、とてもオーソドックスなドラマです。「私が、生きる肌」はぶっ飛んでいたし「アイム・ソー・エキサイテッド」もぶっ飛んでいたし「ボルベール」もぶっ飛んでいたし「抱擁のかけら」もぶっ飛んでいました。ぶっ飛んでばっかりやな。でも「ジュリエッタ」はそんな中、極めてまっとうな普通のドラマが進行します。しかし侮るなかれ、なんか細かいところに意外な物語が潜んでいて、単なる普通のドラマだと思って舐めていたらチクリチクリと刺されます。何、誰も舐めてなどおらぬと。はいそのとおりですね。

チクリチクリの部分をここで書いてしまうと作品に失礼なので書きませんが、序盤いきなり汽車で出会う男の話や、娘がどうなっていったかの部分、アーティストの女友達との件など、細かい物語の針がそこかしこに埋まっていて油断しているとチクっとやられますね。この奥ゆかしさと攻撃性がたまらない魅力となっています。

あまり物語に触れるのも何ですので出演者の話をします。ジュリエッタとアンティアのことはとりあえず放っておいてですね、私が是が非でも急いでこの映画を観たかったのは白状しますと出演している女優ふたりが目的だったんですね。それは誰か。もちろんこの二人です。

インマ・クエスタ

インマ・クエスタは「マルティナの住む街」のマルティナですね。「ブランカニエベス」の若くして亡くなる母親ですね。オリエンタルな美女です。最近日本で紹介された「スリーピング・ボイス」では社会派の渋い役を好演していました。可愛らしいお嬢さんからやつれた女、なんでもやります。でも芯の強い人の役が似合うのかな。そんな感じで、大女優への道を着々と歩んでおられます。

「ジュリエッタ」でもやや若い気のいいお姉さんから十数年後の疲れた姿までをきっちりがっつり演じました。役もすごく良かったし、ペドロ・アルモドバル監督がインマ・クエスタにこの役を与えたことを考えると感無量です。

ミシェル・ジェネール

インマ・クエスタは最初からまあまあ大女優の貫禄がありましたがミシェル・ジェネールは日本ではそうでもありません。ミシェル・ジェネール、ご存知でしたか?個人的に超お気に入りの絶賛おもしろ映画「エンド・オブ・ザ・ワールド 地球最後の日恋に落ちる」のフリアですよ。あれはよかったですねー。映画も格別面白いしミシェル・ジェネールの可愛らしさが爆裂していましたね。それ以外は「スパニッシュムービー(最終爆笑計画)」にチョイ役で出てましたね。日本でミシェル・ジェネールを拝めるのはこれだけです(アニメ映画で声出してるのはありますが)スペインではすっごく人気者の可愛子ちゃん女優で出演作ももっとありますが日本で紹介されていなくて、出演作品に焦がれていました。

そのミシェル・ジェネールがいきなりペドロ・アルモドバル作品に抜擢ですよ。最初、母と子のドラマにあまり興味を持っていなかったんですがミシェル・ジェネールが出演してると知ってびっくりしてパンを落としました。パンを落とすときは必ずジャムが下になりますね。(*)いやしかし、可愛子ちゃんアイドルがいつまでも可愛子ちゃんアイドルでなくなってくるころ、ペドロ・アルモドバル作品に抜擢されるとはやっぱりこの女優もただ者ではありませんね。私はもう感無量ですがいちいち感無量にならなくてもよろしい。はい。

ということでね、さらにオマケにインマ・クエスタも出てると知って「何ふたりともか!」と驚いてまたパンを落とし、「ふたりとも」というか何の関係もありませんがそんなわけで何があろうと大慌てで観ることになりまして、浅ましい女優目当ての不純な動機です。すいませんです。

女優の話ばかりしてこいつあほかと思われそうですがあほですので許してください。そんなこんなで「ジュリエッタ」の他の見どころはですね、それはそれは細かくたくさんあります。子役と大人がそっくりっていうのも面白いし、時々はっとする構図の映像が出てきて胸騒ぎが起きたり、メイドさんがめたくそ個性的で最強のアクセントになっていたり、心系の脚本も渋く攻め立て、大げさな映画じゃありませんが観る価値大ありでした。

でね、そうそう、メイドさんですね、また女優の話ですがメイドのマリアン役をやったロッシ・デ・パルマがまた個性的ですごくいいんです。「抱擁のかけら」にも出ていましたし、アルモドバル監督のちょっと古い映画にも出ていますね。何事も一面的でなく、娘がまだちっちゃい頃に家に帰ってきたときの満面の笑顔が忘れられません。1987年の「神経衰弱ぎりぎりの女たち」ではカルメン・マウラと出ていますね。

他の肝心な女優さんのことはいずれ追記するかもしれませんが今日のところはすっ飛ばしています。主人公たちを放っておくとは酷いですね。次はスタッフについてです。

音楽とてもいいんです。それもそのはずアルベルト・イグレシアスはお気に入りの映画音楽もたくさん手がけている信頼印の多忙な音楽家。いい映画のいい音楽作りまくってます。いちいち挙げきりませんがサントラ三昧希望です。

撮影は「屋根裏部屋のマリアたち」も撮ったホセ・ルイス・アルカイネ、美術がこれまたおなじみのアンチョン・ゴメスということで、そんなの興味ないってのが普通の感覚なので何でもいいんですけどついついクレジットをせっせと入れてるので気づいてしまいます。

ほとんど内容について語っていませんがそんな時もあります。ミシェル・ジェネールがアルモドバル作品に起用されただけでおじさん満足です。ほんとよかった。そんでもって、いい役でもありましたよ。

そうそう、原作本が出版されたんですってね。興味のある方はご一読を。サントラももう売ってます。うずうず。

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