ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

There Will Be Blood
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
公開年:
2007
製作国:
監督:
製作:
製作総指揮:
脚本:
原作:
音楽:
主演:
出演:

一攫千金を狙って油田を狙う幼子を連れた山師の男。カリスマ伝道師と双子の男が絡み、欲望と裏切り、強欲と欺瞞、波乱の人生を歩む男の半生を描いた渾身の叙事詩。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

「マグノリア」「パンチドランク・ラブ」のポール・トーマス・アンダーソンが描ききった大作。映像は綺麗で迫力、音楽は効果的、物語は重々しくもクールで骨太、これは見応えあります。158分の堂々の大作。「マグノリア」よりずっとずっといい出来です。

登場人物はどいつもこいつも癖があり、安直な設定のやつは誰ひとりいません。物語も癖があり安直な展開がまったくありません。シーンの一つ一つは力がみなぎっていております。ラスト近くになると狂気じみた演出で魂がどっか行っちゃいそうなシーンも続出。

第80回アカデミー賞では8部門ノミネートで受賞は男優賞と撮影賞。この年は「ノーカントリー」が作品賞を取ったんですね。ハイレベルな争いでどちらが取ってもおかしくない感じでした。

この映画、原作は社会派アプトン・シンクレア(1878〜1968)が1927年に発表した「油田!」でして、20世紀初頭というこの映画の設定、原作ではあまり遠くない時代の話なんですね。
アメリカ精肉産業を告発した1906年「ジャングル」をきっかけに食肉検査法の可決に至るなど社会主義目線による政治的作風で知られ、カリフォルニア州知事選に出馬したこともあるそうです。「人われを大工と呼ぶ」とか、聞いたことありますね。読んだことないですけど。

主演のダニエル・デイ=ルイスはロンドン生まれのイギリス人で、映画デビューしては舞台に戻ったり、俳優を休業して「靴屋になるんだ」とイタリアに修行に行ったり、アイルランドの市民権を取得したり、なかなか妙な人です。イタリアで靴屋修行をしているときにマーティン・スコセッシが「俳優に戻れよな」と説得してカムバックし「マイ・レフトフット」でアカデミー賞男優賞を取りました。一時期は永遠のアイドル、イザベル・アジャーニと結婚していましたが、今は作家アーサー・ミラーの娘と結婚して米国とアイルランドで幸せに暮らしておられます。

ポール・トーマス・アンダーソンは「マグノリア」のところでも書きましたけど「パンチドランク・ラブ」も「ハードエイド」も未だに未見でして、大物臭はしていますがあまりよく知りません。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の前半は油田を目指してがつがつぐんぐん勢いのある主人公を描きまして、採掘現場の描写は汗臭くリアルで、命をかける「はたらくおじさん」的シーンも沢山あります。
幼子は「息子」と言ってますがホントでしょうかねえ、うさんくさいですねえ、とそういう描き方をしています。この幼子もだんだん成長し、パートナーとなっていきます。
油田情報を持ってくる怪しげな青年とその青年の兄弟である怪しさ満開のカリスマ牧師が関わってきてドラマはますますねちっこくなっていきます。
主人公はますます強欲に、息子との関係は怪しくなって、 野望から成功、成功からさらなる野望と、欲望とその果てに来るものに翻弄というか自分で突き進むんですけど、この男の人生がこの男に何を残したか、て感じで、そうですね、最終的にそこには血とワインがありました。There Will Be Blood。

2009.05.12

堂々の受賞歴はこれこのとおり。

第80回アカデミー賞
主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
撮影賞:ロバート・エルスウィット
第74回ニューヨーク映画批評家協会賞
男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
撮影賞:ロバート・エルスウィット
第65回ゴールデングローブ賞
男優賞(ドラマ):ダニエル・デイ=ルイス
第61回英国アカデミー賞
主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
第60回アメリカ撮影監督組合賞:ロバート・エルスウィット
第42回全米映画批評家協会賞
作品賞
主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン
撮影賞:ロバート・エルスウィット
第33回ロサンゼルス映画批評家協会賞
作品賞
男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン
美術賞:ジャック・フィスク
第14回アメリカ映画俳優組合賞
主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
第13回放送映画批評家協会賞
主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
音楽賞:ジョニー・グリーンウッド
第9回ゴールデン・トマト賞
小規模公開作品第9位
ドラマ部門第4位
映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」第8位

ここまでメジャー系の受賞をしているとかえって敬遠したくなるかもしれませんが、本作はなんとなく「米国映画の骨太の王道」って感じがしてそれはそれで価値があります。

2011.01.12

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