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ハーバード大学で映画を学んだ人がこういうデビュー作を撮っちゃいました。
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随分昔ですが、アバンギャルドな映画や芸術映画が好きで、情報を見つけては「12時間ぶっ通し*二日間」なんていうえげつない上映会にいそいそと出かけていたものでした。あの頃はシネマ・ド・オルフェ(オルフェの袋小路)に本当にお世話になりました。その手の上映会に生まれて初めて行ったのは確か「ダダからシュールへ」かな。あの時の小学生が私です。京大のお兄さんお姉さんに取り囲まれて大変気分の良い1日を過ごしました。覚えておられますか?そんな感じで徐々にヨーロッパの古い芸術フィルムから、都会のアングラ映画まで足を踏み入れたのでございますが、だから基本的にアングラ的なものは根っこに持っていて好きなのであります。
しかし世の中と同じように個人も変わります。
アングラ系は好きでも、その中の青臭さが鼻につくようになるともう年寄りです。若気の至りのような尖った作品を観て、のめり込むことも出来ず「うんうん、がんばったね」という厭な大人の感想が先に出てくるようになるともう駄目です。

「π」は恰好は付けてるんですが中身が薄すぎておじさん退屈しちゃいました。
安物のSFみたいなお話を無理に付けずに、ガンガンつっぱしっても良かったのではないかと思うんですが、でも完成した作品の、その作品の狙いと違う部分を指してお門違いな批判をするのは、批判の中でも最低最悪の部類ですから、今のこれは謹んで取り消します。

ダーレン・アロノフスキーが大いに注目された出世作です。インディーズにとどまらず広く受けたのは先ほど批判しかけたおちゃらけ設定があったがためなのでしょう。
青臭いくらいなんだ。つっぱしれ。やってやれ。
がんばれ映画。

2006.11.19

というわけで数年が経ちましたが、ほら見ろ、ダーレン・アロノフスキーはただの青臭い格好つけのモドキ君なんかじゃありませんでした。めきめき頭角を現し、「レクイエム・フォー・ドリーム」ではまだ少し残っていた頭でっかち部分を完全に取り払い、人間としての傑作「レスラー」を撮り上げました。突き抜けるというのはこういうことですね。

 

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