71フラグメンツ

71 Fragmente einer Chronologie des Zufalls
冒頭、銀行内で起きた銃乱射事件が映されます。そして71の断片が普通の人々を描き出すのです。ミヒャエル・ハネケ 1994年「71フラグメンツ」
71フラグメンツ

冒頭の銀行内乱射事件は1993年にウィーンで実際に起きた事件。3人が死亡し、犯人は自殺です。この事件を題材に「71フラグメンツ」は作られました。

この作品は群像劇です。病弱な赤ん坊がいる夫婦、密入国の難民少年、子供がなく養子を迎えたい夫婦、銀行員の娘を持つ老紳士、パズルに嵩じる大学生・・。無関係の人々が同じ街で日常を営みます。同時に、節々で「馬鹿の箱」の異名を持つテレビが報道番組を映し出します。

それぞれの話も面白くて、老紳士の長電話や卓球シーンや密入国少年の行動など、どれをとっても不思議な魔力を持つ断片となっています。時間の使い方が異常なほど上手いハネケ作品、見ていて不安感というか胸騒ぎというか、絶えず心が動かされます。
この作品では「コミュニケーション不全」も題材のひとつなのでしょうか、 コミュニケーション不全による苛立ちまで含めて描いているのでしょうか。
鑑賞者にまでその苛立ちが伝わります。断片の描写とともに苛立ちは徐々に高まり、物語的にも、鑑賞者的にも最後にピークを迎えます。

もしあなたがこの作品を観て苛立ちを覚えたとすれば、また、物語の最後に少しでもスカッとしたとすれば、あなたも(もちろん私も)人殺しになる可能性を十分に秘めているということです。

2009.01.14

2010.09.16

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