麦の穂をゆらす風

The Wind That Shakes the Barley
アイルランド独立戦争後の英愛条約を巡っての内戦を背景に、関わる人々や対立する兄弟を描いたケン・ローチの傑作。
麦の穂をゆらす風

アイルランドという国はほんと大変な目にあった国で、我々辺境のアジア人から見たらなぜこれほどの差別的待遇を受けねばならないのかさっぱりわかりません。牧歌的な素敵な国と国民としか思えないのに、帝国主義っていうのはまったく頂けませんね。

いろいろな歴史を経た末のアイルランド独立戦争は1919年から3年間続きアイルランド自由国が成立しましたが、休戦協定である英愛条約が締結されイギリス連邦下に置かれることになりました。こんなのではアイルランドの真の独立とは言えないと不満を抱くものが納得せず国内は分裂、内戦に発展します。独立戦争よりも内戦のほうが犠牲者が多かったらしいのですね。

この映画は独立戦争後の協定締結、内戦へと発展していくあたりを主人公兄弟を軸に描くドラマです。ドラマとして完璧、人や人たちや景色や田舎や歴史や国や大きな思想や細やかな心理をきっちり描ききります。オーソドックスの頂点と言ってもよい大変すぐれた映画ですね。この映画を思い出す時、数々の美しいショットや人物たちの表情が次々に浮かびます。

カンヌ国際映画祭では審査員全員一致でパルムドール受賞。

主人公ダミアンを演じるキリアン・マーフィー。この人のこけた頬と鋭い目つき、どこか嘘くさいながらも実はピュアな独特の男前顔はこの映画で強く印象を残しました(私に)

こういう人々が歴史の中で蠢く話を見ると、どうしても手塚治虫の漫画を連想するんですよね。いやそもそも手塚治虫の漫画が映画っぽいのであるとはわかってるんですが、人と人の関係とか辛さ、歴史に翻弄されいつの間にか敵対したり裏返ったりするドラマはどうしても手塚っぽいとつい感じてしまいます。

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