フューネラル/流血の街

1930年代、ニューヨークで頑張るマフィアの家族、固い結束の三兄弟を描きます。ただし三男は冒頭から死んでいます。その三男のお葬式(funeral)、長男宅に次男を初め家族が集います。弟に何があった。弟はなぜ死んだ。

宇宙人王(ワン)さんとの遭遇

ここはローマ。中国語の翻訳家ガイアさんに急な同時通訳の依頼の電話が入りまして、いそいそと出かけますと目隠しをされてどこか判らぬ隔離された取調室に連れて行かれ、中国語を話す謎の宇宙人の尋問に付き合う羽目に。

コッポラの胡蝶の夢

フランシス・フォード・コッポラ監督が10年ぶりに監督したという「コッポラの胡蝶の夢」はある種の物議を醸した地味目の老人ファンタジー。「若さなき若さ」の映画化。

ぼくたちのムッシュ・ラザール

担任を失ったクラスに新たにやってきた先生はアルジェリア出身のバシール・ラザール。至って真面目な男です。小学校を舞台に、それぞれが孤独と不安を抱える生徒と教師を描きます。

ブリューゲルの動く絵

ブリューゲルの「十字架を担うキリスト」を映画化した作品。なんのこっちゃとお思いでしょうが、絵画作品の映画化というのはこういうことだと妙に納得出来る映像派アート作品です。

ピラニア リターンズ

爆裂的怪作で残虐映画史上に残る傑作「ピラニア3D」の大ヒットを受けて作られた続編「ピラニア3DD」は監督がジョン・ギャラガーという、最初からあっち方向に狙いを定めたあれ系ナニ映画。

刑事ベラミー

南フランスで妻と休暇を過ごす有名警視ベラミー。彼の元に一人の謎の男が「おれの話聞いてくんないかなー」と現れます。世間を賑わしている保険金詐欺殺人事件の関係者のようです。休暇中の有名人警視ベラミーは興味津々で深追いを始めます。

汚れた心

第二次大戦終戦直後、ブラジル移民の日本人に起きた血で血を争う事件の映画化。映画では日本人村で徒党を組む狂人ファシストが同胞を狙います。「国賊」の印を付けて殺すのです。

少女ヘジャル

悲惨な目に遭って生き延びたちびっ子クルド人少女ヘジャルと、妻を亡くした老人がひょんなことから出会います。社会的背景を持つちびっ子と老人の映画です。ちびっ子と老人映画にめっぽう弱いMovieBooです。これは来ました。これはぐっと来ましたよ。たまらん。これはもうたまらん。これべた褒め。

アンチボディ

変態猟奇殺人犯の男と田舎の警官が対峙します。いわゆる「羊たちの沈黙」とか「セブン」とかの系統の、犯人と警官の対話による心理戦系サイコスリラー。そういう系ですがなかなかよくできてます。

汽車はふたたび故郷へ

ソ連時代のグルジア。やんちゃでカメラ好きの少年はやがて映画監督になりますが祖国の窮屈さに我慢できずにフランスへ旅立ちます。若い映画監督の奮闘を描くこの映画は、グルジアの巨匠オタール・イオセリアーニ監督の半自伝的な映画であるそうです。

果てなき路

映画を撮る映画です。映画化のモデルとなった事件、その映画を撮影する面々、撮られた作品そのもの、振り返って作品を観る人、そういった多重の映画内世界が並列に複雑怪奇に入り乱れて大きなうねりを作ります。

コレラの時代の愛

ガブリエル・ガルシア=マルケスの同名小説の映画化。内戦とコレラが蔓延る世紀末のコロンビアを駆け抜ける怒濤の50年間。ハビエル・バルデムの怪演がラテン文学の映画化に何をもたらしたか。

裏切りのサーカス

「ぼくのエリ」のトーマス・アルフレッドソン監督が、ジョン・ル・カレの小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を映画化。ゲイリー・オールドマンにジョン・ハートにコリン・ファースにトム・ハーディなどなど、大物著名俳優を迎えてじっとりがっつり冷戦時代のスパイを描きます。

ディヴァイド

核攻撃を受けて壊滅状態のニューヨーク。アパートの地下シェルターに逃げ込んだ男女9人の不安と不信の密室劇。ホラー要素も含めてのシチュエーションSFスリラー。監督が「フロンティア」のザヴィエ・ジャンです。

それでも、愛してる

鬱の会社社長がビーバーのぬいぐるみを腹話術のように使って活発になります。頓珍漢な邦題をつけられたコミカルで妙なこの映画はジョディ・フォスター監督の「ザ・ビーバー」

メン・イン・ブラック3

MIB3です。「メン・イン・ブラック」のパート3です。パート2から10年くらい経ってるそうです。何故突然パート3を作ったんでしょう。それはともかく、今回はタイムスリップします。でも心配ご無用。

[REC]3 ジェネシス

超面白い感染オカルトPOVの「REC」と「REC2」に引き続きのシリーズ3作目です。3作目ですがジャウマ・バラゲロ監督してませんし関係してません。お話は前作までと無関係な独立したお話で、しかもあろうことか今作POVじゃありません。これはどうしたことか。いろんな映画の悲惨だったパート3の悪夢がよぎります。これ観てもいいのか。本当に観ていいんですか。

幸福の罪

幸福な家族に舞い込む事件と顛末。唐突に訪れるある事件のために、ある家族を不穏が包み込みます。家族や元家族の愛のドラマであり、犯罪と事件のミステリーであり、秘められた性癖の心理劇であり、裏切りとどんでん返しのサスペンス劇場であります。まあその、それだけじゃなく、いろんな意味で不可思議なチェコの映画。

孤島の王

ノルウェーの孤島バストイにある非行少年用の矯正施設。隔離された環境の同施設の実態と少年たちの様子、そしてここで起きる事件を描く実話ベースの物語。

変態男

「変態男」という邦題を付けられたこの作品、オリジナルタイトルは「凡人」です。ホラーでもスプラッタでも色物系低品質映画でもありません。
ヨーロッパの新鋭監督による変な路線の良作を日本に紹介する変態箱シリーズ、その中でも「変態村」と並ぶ屈指の出来映え。

ハード・キャンディ

出会い系チャットで知り合った14歳少女と32歳カメラマン。さっそく会うことになりまして、カメラマンの自宅兼スタジオに場所を移します。エレン・ペイジとパトリック・ウィルソン、たった二人の緊迫しまくる室内劇。駆け引き系心理系応酬サスペンスの大傑作。

シルビアのいる街で

6年前の恋の街、彼女の面影追い求め、イケメン青年カフェ通い、目に映るのは美女ばかり、恋に恋する情欲を、掻き立てるかの街の顔、路面電車に路地裏に、生活臭に労働に、闊歩しまするシルビアの、まぶしいばかりの後ろ付き。

ドライヴ

昼は整備工と映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を手助けするドライバー。孤独な男がお隣さんの人妻に一目惚れ。よっしゃ彼女のために一肌脱いでやろうじゃないの。という任侠系映画。

この自由な世界で

移民労働者の職業斡旋業を始めたシングルマザーの奮闘記。彼女の仕事と移民の事情、底辺労働者と底辺自営業者の勘違いとド根性。これが自由な世界に生きる道。ケン・ローチ会心の一撃。

トリコロールに燃えて

第二次大戦前後のパリを主な舞台にした三人の男女10年間の愛の物語。上流階級育ちの享楽的美女ギルダ(シャーリーズ・セロン)、祖国の内戦状況に後ろ髪引かれるスペイン美女ミア(ペネロペ・クルス)、そして理想を求める男ガイ(スチュアート・タウンゼント)の三人が、歴史と戦乱に翻弄されながら愛と友情の物語を繰り広げます。

明日へのチケット

エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチの巨匠監督三人によるコラボレーション。列車を舞台に三監督による三つの物語が描かれます。三つの物語ですが、全体として一本の長編映画のようにシームレスに結合。しっとりしててコミカルで不思議でちょっとドキドキしてプチ感動あり。

ラブリー・リタ

少女リタです。ちょっとおしゃまで不機嫌さんです。あたしは可愛い女の子、けど毎日なんて退屈なの。なんてつまらないのかしら。私を認めて。可愛いと言って。ラブリー、リタ。
などと暢気に構えていられる映画じゃありません。ハネケの弟子、ジェシカ・ハウスナーのデビュー作は揺れ動く乙女心と不機嫌の頂点。

アリゾナ・ドリーム

叔父の結婚式のためにアリゾナへやってきた青年(ジョニー・デップ)を取り巻く恋と破滅と人間模様。
エミール・クストリッツァ1993年の国家幻想的屈折アメリカン・ドリーム。

変人村

若者たちがクラブでナンパした女の子の自宅、街からめちゃ遠いド田舎の屋敷へ遊びに行きます。出迎えるのはちょっと怖そうな使用人ジョセフ。やばそうなジョセフをヴァンサン・カッセルがノリノリで演じます。
キキ・ピカソの倅でアングラアーティストでもあるキム・シャピロン監督のデビュー作。

そして、私たちは愛に帰る

ドイツで暮らすトルコ系の年老いた父と子、その父が囲う娼婦、トルコで政治活動に身を投じ、国を追われドイツに不法入国してくるその娼婦の娘、一文無しのその娘を匿うドイツ人女学生とその保守的な母親。
ドイツとトルコの社会情勢に影響を受ける3組の親と子の絡み合う物語。愛と喪失、死と再生の旅路。ファティ・アキン監督2007年の名作。

ルート・アイリッシュ

兵隊派遣の民間会社に所属し、イラク戦争やアフガニスタンに出向く傭兵たちにスポットを当てた「ルート・アイリッシュ」です。彼ら民間兵の無様で病んだ暮らしを描くケン・ローチの社会派鬱々ドラマ。

この愛のために撃て

看護助手の冴えない男が主人公です。妊娠中の奥さんが誘拐されてしまいまして、入院中のある人物を病院から連れ出せという犯人からの指示に従います。一見、巻き込まれ型バイオレンスアクションですがその実態はかっこいい任侠ハードボイルド。

ディクテーター 身元不明でニューヨーク

サシャ・バロン・コーエンとラリー・チャールズ監督のコンビ、「ボラット」「ブルーノ」に続く劇場映画第三弾。独裁国家ワディヤのアラディーン将軍がNYへやってきて巻き起こすドタバタブラックコメディ。

RUBBER

生きたタイヤがころころ転がって動物や人を殺す不条理系コミカルスプラッター「Rubber」は、カンヌの監督週間にも出品され予告編だけで各方面の話題をかっさらった2010年の怪作。これ観ました。タイヤがころころ転がります。

スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜

大統領予備選にまつわる選挙事務所サスペンス。リベラルで男前の州知事に付いて予備選で勝たせようと頑張る選挙スタッフのあれこれ物語です。野望と理想を抱く若きエリートコンサルタントの仕事ぶりをドキドキドラマで展開。

サラの鍵

1942年、フランス警察によるユダヤ人一斉検挙の朝、少女サラは弟を納戸に隠して鍵をかけ、すぐに戻ると告げますがそのまま隔離され後に収容所に連れて行かれます。
一方現代、女性ジャーナリストが引っ越してこようとしているアパートに、かつてフランス当局によるホロコースト事件の被害者一家が住んでいたことを知り調査を開始。
少女サラの過酷な人生と、サラを探す女性ジャーナリストの人生。

本当はエロいグリム童話~ RED SWORD レッド・スウォード

古来からの異形の一族である狗神と、その狗神退治の宿命を背負って生まれた赤ずきん赤月紅子の死闘が繰り広げられます。友松直之監督による本当はエロいビデオ作品。

トロール・ハンター

ノルウェーの山奥で密猟者を取材しようと意気込む3人の大学生。彼らが出会うのは熊ではなく・・・北欧の妖精トロールであった。なんとトロールは実在したのだっ。

ムカデ人間2

「ムカデ人間」の続編、というか3部作(の予定)2作目「ムカデ人間2」です。映画「ムカデ人間」大好き男が「よしおれもムカデ人間を作ろう。しかも12人で」と決めたかどうだか、とにかく人を集めて繋げようとしています。

カラスの飼育

父親が知人女性との情事の最中に急死する様子をじっと見つめる三姉妹の次女アナ。彼女に芽生える哀しいばかりの悪意を描きます。
「ミツバチのささやき」のアナ・トレントを大々的にフューチャーしたカルロス・サウラ1976年の名作。

Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち

ピナ・バウシュ率いるヴッパタール舞踏団の4つの舞台を中心に、団員のインタビューと挑戦的なパフォーマンスを収めたドキュメンタリー。ヴィム・ヴェンダースがピナ・バウシュ他界の失意を乗り越えて作り上げた舞踏美術の驚異の神髄。

ハーブ&ドロシー

庶民でありながら抜群の審美眼と持ち前の人徳で現代美術の収集を続けてきたヴォーゲル夫妻のドキュメンタリー。
ニューヨークとアート、老夫婦の人生、アーティストと猫。

コントラクト・キラー

真面目に勤めてきた仕事を失い人生に絶望した男が自死を決意するも上手くいかず、ついに殺し屋に自分殺害を依頼します。
アキ・カウリスマキ1990年の労働者階級サスペンス喜劇。

テイク・シェルター

大災害による終末の恐怖に囚われた男の物語。悪夢は災害の予知なのか、精神疾患なのか。家族のためにシェルターを整備します。
完璧な脚本、見事な演技、圧倒的な完成度。大絶賛。こんなの知らなんだ。なんだこれは。

ルルドの泉で

聖地ルルドの巡礼ツアーに参加したマヒの女性とその周辺。ルルドを描き、巡礼ツアーを描き、人々を描ききる、オーストリア女流監督ジェシカ・ハウスナー2009年会心の一撃。これは凄いの一言。

デビル・インサイド

エクソシストものです。ドキュメントフィルム撮影中という設定のPOVです・・・。ありゃ。どこかで聞いたような設定ですね。でもいいんです。エクソシストものですから気にしない。

パパは、出張中!

ちょっとした政治批判の一言で収容所送りになった父親のことを「パパは出張中なのよ」と少年マリクに告げる母。
ちびっ子マリクが見つめる激動の数年間。両親と親族、暮らしと社会、世の中と戦後、思想と民族。恋と別れ。エミール・クストリッツァ85年の長編映画2作目。

SUPER 8

「黒猫・白猫」以来、エミール・クストリッツァ作品の音楽を担当していて、クストリッツァ本人がギタリストとして参加しているノー・スモーキング・オーケストラの、ツアーとメンバーを追った音楽ドキュメンタリー映画。

ダーク・フェアリー

ギレルモ・デル・トロ プロデュースのダーク・ファンタジー。こわ〜いおとぎ話です。古いお屋敷の地下深くに潜む妖精さんたちが女の子を誘います。

バベットの晩餐会

19世紀、ユトランドの海辺の小さな村の小さな出来事。牧師の娘マーチーネとフィリッパに魅了される二人の男、数十年後に家政婦として姉妹の世話になるフランスから亡命してきた女性バベット、そして村人たちです。

おじいさんと草原の小学校

かつてイギリスの植民地だったケニア。2003年に政府が無償教育制度を施行したことを耳にした84歳の老人マルゲが地元の小学校に入学を希望してやってきます。実話に基づく最高齢小学生の物語。

ヤング≒アダルト

「JUNO ジュノ」の監督(ジェイソン・ライトマン)と脚本家(ディアブロ・コディ)のコンビが、シャーリーズ・セロンを主演に迎えてお届けする危ない女性の物語。37歳バツイチ都会のゴーストライターで大人になりきれない女性メイビスが元彼を軽く奪うために故郷の田舎町に舞い戻ります。

エル・スール

「ミツバチのささやき」から10年後に公開されたビクトル・エリセの「エル・スール」は独裁政権から逃れて暮らす苦悩する父と過敏な少女の心ちくちく物語。

チェンジリング

1920年代ロサンゼルス。電話会社に勤めるシングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)の息子がちょっと目を離した隙に行方不明に。ちょっと遊びに行ってるだけ?誘拐?家出? 探します。警察にも届けます。だんだんと母は半狂乱。息子はどこ。息子はどこ。

少年と自転車

社会と人間を描かせたらこの人たちの右に出るものがいないという、ジャン=ピエールとリュックのダルデンヌ兄弟、この巨匠兄弟監督の2011年新作はやっぱり受賞の「少年と自転車」です。揺さぶられてください。

アンダーグラウンド

エミール・クストリッツァ監督1995年作品。怒濤のユーゴ近代史を総括するミクロでマクロで悲惨で可笑しく、戦慄で驚愕でコミカルで歌と踊り、リアリズムを超えたリアリティとファンタジーを超えたファンタジー、超が付く現実、人間と動物と大人と子供と社会の喧噪と狂乱、映画史に刻まれる20世紀末の一大傑作。

SHOT/ショット

人里離れた古い持ち家を売却するために大掃除にやってきた父と娘、そして叔父さん。明日から作業だ、今日は寝ようということで寝ていましたら二階から物音が・・。屋敷に潜む何物かが襲ってくるホラーテイストスリラー。

人生、ここにあり!

1980年代ミラノ近郊。精神病の患者たちの組合が自主的に仕事を始めて地域社会との共存を実現していく過程を描いた実話的な物語。

ミラル

イスラエル出身の女性ジャーナリストの自伝的小説をジュリアン・シュナーベルが映画化。イスラエル占領下のパレスチナで孤児たちのための学校を設立し生涯を教育に捧げた偉大な女性ヒンドゥ・フセイニの人生を、主人公ミラルの目線で描きます。

ゴモラ

ナポリに巣くう犯罪組織「カモッラ」の地元本拠地での実態を描いた実録風群像劇。組織の会計係や無鉄砲な若者、まだ幼さが残る末端の兵隊たち、仕事に殺し、脅しにすかし、チンピラ、やくざ、公共事業に廃棄物処理、なんでもやります世界一。

大いなる休暇

カナダの端のほうの小さな島。かつて漁業で栄え今ではすっかり貧困島と化したこの土地に持ち上がった工場誘致の話。しかし工場建設には定住する医師が必要条件。島民が一丸となって「魅力的な島」を演出し、医師を騙して気に入られ定住する気にさせようとするお話。

明かりを灯す人

キルギスの山脈の麓にある小さな村の電気工。村人から「明かり屋さん」と呼ばれてます。かつて賑わい今では過疎っているこの村に、開発の波が訪れつつあります。明かり屋さんの仕事と生き方。

ル・アーヴルの靴みがき

フランス北部の港町ル・アーヴル。以前はボヘミアン生活を送っていた元芸術家のマルセルは今では靴みがき。最愛の妻と忠実な犬とともに暮らしています。
アキ・カウリスマキ2011年の新作は、心揺さぶられるボヘミアンと移民の街の社会派ファンタジー。大絶賛。

ラヴィ・ド・ボエーム

芸術家3人がパリを舞台にボヘミアン生活。アーティストの生き方がハードボイルドであることを端的に示すアキ・カウリスマキ1992年の傑作。

ピザボーイ 史上最凶のご注文

ルーベン・フライシャー監督ジェシー・アイゼンバーグ主演の「ゾンビランド」チームがお送りするクライムコメディ。
ピザ配達員とその親友、遺産欲しがるどら息子とその相棒、ふたつのコンビが事件を起こします。今時感覚がいい感じ。

黒猫・白猫

ジプシーの一族とその周囲に巻き起こるハチャメチャ騒動。父ちゃんの詐欺的儲け話、息子の恋愛、爺ちゃんとその親友ゴッドファーザー、ゴッドファーザーの息子、詐欺師のチンピラ、可愛いあの子、面白人間たちとドナウ川と動物たち。これでもかというほど詰め込まれた騒然煩雑猥雑不可思議異世界映画の巨頭。

ゴースト・オブ・チャイルド

数十年の昏睡から目覚めた女性、子育てノイローゼの母親、古い曰く付きの屋敷、そして儀式の謎。アナ・トレントを主演にお送りするスペイン名物オカルト・コンプレックスのゴシックホラー。

イゴールの約束

外国人の違法労働を斡旋したり面倒を見たり搾取してかすめ取ったりして生計を立てている父とその子イゴールの物語。怪しい父、手伝う息子、働く外国人。
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌの兄弟監督の名を世界に轟かせた長編映画3作目の「イゴールの約束」は、身の丈世界の事件を通して人間の社会的生物的事象を切り取ります。

テキサス・チェーンソー・ビギニング

>名作「悪魔のいけにえ」(1974:トビー・フーパー)の続編、というか過去に遡り殺人鬼の「誕生秘話」みたいな設定の2006年の新作。企画モノの一過性作品かと思って侮っていたら大間違い。ジョナサン・リーベスマン、舐めてました。ごめんなさい。

ウィンターズ・ボーン

アメリカ合衆国ミズーリ州の見捨てられた貧しい村で、精神異常の母親と幼い弟妹を抱えた17歳少女が暮らしております。駄目男の父親は警察にとっ捕まった後、自宅を保釈金の担保にして失踪。このままでは家を取られる。消えた父親を見つけださねば、と家族のために失踪した父親捜索を開始する少女リーでありました。

やがて来たる者へ

第二次世界大戦末期、イタリア北部の山村の物語。農家の娘、8歳の少女マルティーナは生まれた弟が死んで以来口がきけません。彼女の大きな目が山村の人々、大所帯の一家、ドイツ兵士にパルチザンを見つめます。
これは壮絶。これはいかん。これはあまりにもあまりな映画。

ラスト・エクソシズム

饒舌とトリックの偽悪魔払いを続けてきた神父が「もうこんなことは最後にしよう」と、撮影クルーを招きネタ暴露のドキュメンタリーを製作します。
製作にイーライ・ロスの名があるのでこれは観ておかねばなりません。

夏の終止符

北極の観測所に赴任しているベテラン男と新米野郎の二人の物語。昔気質の職人親方風の厳しい男セルゲイに対して、新米君は今風のへなちょこうじうじ男、このへなちょこ野郎がしでかす罪の連鎖を描く一夏。

未来を生きる君たちへ

「ある愛の風景」「アフター・ウェディング」のスサンネ・ビアがお送りするホームドラマと途上国の融合シリーズ。「復讐」をテーマに、ちびっ子のいる二組の家族の物語を描きます。

ポゼッション

美人妻アンナ(イザベル・アジャーニ)とその夫(サム・ニール)、変な愛人(ハインツ・ベネント)にその母親、ゲイ探偵に幼稚園の先生に怪しい連中、いろんな人が妄想と狂気に陥るホラーでスリラーでカルト的変な映画「ポゼッション」はポーランドのアンジェイ・ズラウスキー1981年の怪作。

ジンジャーとフレッド

ハリウッドの名ダンスコンビ、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのそっくりさん芸人であるアメリアとヒッポが30年ぶりにクリスマスのテレビ特番に出演することになって再会します。
フェデリコ・フェリーニ1985年の小粋な作品。

ホステル3

「ホステル」のパート3です。ただしタランティーノもイーライ・ロスも関係していない上に、本国でも劇場公開なしのビデオ作品。それを踏まえて、期待せず優しい気持ちで観てあげようというそういう作品です。さて出来映えはどうでしょう。

死霊のえじき

ロメロのオリジナルゾンビ3部作三作目。破滅の最後戦争。
これもあれですね、前作「ゾンビ」と同様、日本で公開された時、肝心なシーンをカットしたりサウンドのトラックが抜かれていたりと、けっこう編集されていたそうですね。

フェア・ゲーム

「イラクが核兵器の開発を行っている」と吹聴して戦争を強行したブッシュ政権の最大スキャンダル、プレイム事件を描いた政治的社会派映画。政治的社会派と言えばこの人、ショーン・ペン。そして監督が「ボーン・アイデンティティ」のタグ・リーマン。愛しの君ナオミ・ワッツがプレイム役で好演。観る人を選ばない実話ベースの政治サスペンス。

テトロ 過去を殺した男

フランシス・フォード・コッポラ製作脚本監督、ヴィンセント・ギャロを主演に迎えてのラテン・ビート映画。これは一体、何と言えばいいのか。

ミレニアム ドラゴンタトゥーの女

嵌められたジャーナリストの元に探偵まがいの依頼。離島で起きた40年前の少女失踪事件を調査することに。
ベストセラー小説とその映画化の大ヒット、さらにハリウッドリメイクで話題のスリラー。

アナザー・プラネット

宇宙が大好き美人で賢いローダちゃんはなんとMITに合格。やったね。わいわい。と、そういうときに大ニュース。「未知の惑星が発見されました」なになに。どこどこ。運転しながら空を見上げると何となく見える青い星。でも脇見運転は人生を狂わせますよ。

ライフ・イズ・ミラクル

セルビアとの国境近く、ボスニアの山間部に暮らす鉄道技師ルカの物語。オペラ歌手の妻とサッカー選手を夢見る息子、そして動物たちと暮らしています。時は1992年、ボスニア紛争勃発です。シリアスな時代背景におけるコミカルな恋の物語が始まります。

ツリー・オブ・ライフ

テレンス・マリック監督が放つ久々の作品はノスタルジック父と子マクロミクロコスモス信仰道徳生と死家族人生鬱々きらきら映像叙事詩。第64回カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞。

ダークネス

神経症の父の療養のために一家で越してきた郊外の家で起きる奇怪な現象。アンナ・パキン演じる娘レジーナが、ホラーな家にまつわる謎に挑みます。
奇才ジャウマ・バラゲロ2002年の長編二作目は家族と家とホラーのミステリー。

バビロンの陽光

2003年、フセイン政権崩壊直後のイラクで旅する祖母と孫。戦地から戻らない息子を僅かな手がかりで探す女性イブラヒムと、顔も知らない父が残した笛を手にする少年アーメッドは、ヒッチハイクをし、バスを乗り継ぎ、イラクの北の果てから南の果てまで旅します。

サクリファイス

アンドレイ・タルコフスキーの遺作「サクリファイス」つまり犠牲です。世界の終わりと対峙する苦悩する男の物語。
どうしても見なければならないと思って、震災と同じ日の前日にこれに挑みました。

ザ・ウォード/監禁病棟

ジョン・カーペンター久々の監督作品は精神病院に収容される美少女のサスペンスホラー。
放火して呆然としている美少女クリステンが警官に捕獲され精神病院に入院させられるところから始まります。

メランコリア

憂鬱という惑星が地球に迫る状況で、ジャスティンとクレアの姉妹が対峙する世界と己、絶望と破滅、混乱と秩序、宇宙的規模の小さな心。
ラース・フォン・トリアーが描く世界の終わりはこちらです。
(やや内容に言及しておりますので未見の方はご用心を)

ボローニャの夕暮れ

第二次大戦直前のイタリア、ボローニャに暮らす高校教師ミケーレは、不釣り合いなほど美人の妻と消極的な娘ジョヴァンナの三人暮らし。アパートのお隣さんは昔からの親友で警官のセルジュ一家。
へえ。ほのぼのしたイタリアのホームドラマかなー、なんて思ってるとこれが大間違い。

ゴーストライター

英国元首相の自叙伝を執筆する仕事を前任者の引き継ぎという形で請け負ったゴーストライターが、執筆もそこそこに何やら不穏な空気に影響を受けてこそこそと嗅ぎまわり始めます。
巨匠ロマン・ポランスキーが放つ良質ミステリー。

ルイーサ

アルゼンチン/スペイン映画「ルイーサ」です。ブエノスアイレスで猫と暮らすおばさんルイーサ、きりりと身を引き締めて規則正しく日課をこなすこの老齢近い女性にある日不幸が折り重なってやってきます。

BIUTIFUL ビューティフル

移民や不法滞在者がひしめくバルセロナの一角で暮らす子持ち男ウスバル。仕事と家族。社会と人。父と子。苦悩と焦燥。絶望と当惑。継承と遺緒。

127時間

渓谷を闊歩するアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)が遭遇する事故。「スラムドッグ$ミリオネア」のスタッフが結集して放つ孤独な男のソリッド・シチュエーション・動かない・アクションの秀作。

ポルノグラフィア

ドイツ占領下のポーランド。芸術家の男が二人、友人に誘われ田舎の大きな家でしばらく暮らすことに。友人の娘とその幼なじみの青年をいっちょくっつけてやろうかと画策。緊張時代の暢気な目論見。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

余命僅かと宣告され同室に入院することになったちんぴらマーチンと気弱なルディが、死ぬ前に海を見なければと病院から逃走して旅立ちます。

世界侵略:ロサンゼルス決戦

世界中に来襲した宇宙人があれよあれよという間に各都市を制圧。ロサンゼルスもやられそう。軍人たちがロサンゼルスを奪回しようとがんばります。

ストーカー

危険地帯「ゾーン」へのツアコン、ストーカーと呼ばれる案内屋が作家と科学者を引き連れて進みます。タルコフスキーの超傑作、文芸哲学ハードコア社会心理精神分析ホラーSFの金字塔「ストーカー」はこちらです。

猫が行方不明

バカンスに出るために近所の老婦人に猫を預かってもらったもののバカンスから戻ると猫が行方不明。グリグリはどこへ行ったの。さあみんなで探そう。
いろんな人たちが出会ったりしゃべったり、パリの裏通りで猫の大捜索がはじまります。

デビル

飛び降り自殺の捜査をしていた刑事が現場目前のビル内のエレベーター事故とそこで発生した事件に直行することに。
M・ナイト・シャマランが自身のアイデアを若いスタッフに撮らせるプロジェクト「ザ・ナイト・クロニクル」シリーズ最初の作品。

メタルヘッド

不幸を背負い心に傷を持つ少年TJがある日謎の流れ者にいちゃんヘッシャーと出会います。少年と変なにいちゃんとの変な関係。いわゆる「三月うさぎモノ」のハイセンス大快作。

奇跡の海

ラース・フォン・トリアーの放つ「黄金の心三部作」、というより「女優虐め三部作」とも呼びたくなるピュアでか弱い女性をいたぶり尽くす三部作のその一本目がこれ。奇跡の海。

イディオッツ

ラース・フォン・トリアーが「奇跡の海」の次に撮った「黄金の心」三部作の二作目、1998年の「イディオッツ」がDVDにて復活。ドグマ95のルールに従って作り上げた可笑しくも辛い「馬鹿たち」の行動と顛末。

ヒアアフター

津波に遭い臨死体験をしたフランスの女性ジャーナリスト、イギリスの双子の少年、アメリカの元霊能力者の三つのお話が群像劇風に描かれます。クリント・イーストウッドが描く、死を見つめた生の物語。